4月からの改正について

 久しぶりにブログを更新しました。今回は義肢装具士向けのブログになるのでわかりにくいものになっています。今後義肢装具士やユーザー向けのブログなど更新できればと思いますのでよろしくお願いいたします。

 

  厚生労働省保険局医療課より令和5年度3月17日付で「療養費の支給対象なる既製品治療用装具について」の一部改正がありました。義肢装具士業界ではなかなか激震の内容で皆さんどうしようかと悩んでいることが多いと思います。

そこで今回の改正についてまとめてみました。あくまで要約、意訳しているので義肢協会、厚生省との見解異なる場合があります。ご注意ください。

 

 

 

目次

 

  1. 装具処方
  2. 証明書
  3. 治療用装具修理
  4. 製作記録

 

 

  1. 装具処方

・腰部、胸部又は頸部固定帯(J119-2、J200)及び保険医療材料に該当する装具は保険請求ができない。

・術直後や骨折に使用する装具も医師が必要を認めれば保険適用対象。

・インターネット等で販売している装具について保険適用外。

・医師や看護師等が装着した場合、義肢装具士が対応して製作記録を残し、関与を証明するようにする。義肢装具士の関与がなければ支給対象にならない。

・1回の診断で同じ部位に2具は認められないが、複数の部位にそれぞれに1装具というのは認められる。

・既製品装具は採寸を基本価格として計算するが、採型が認められている製品については基本価格採型で請求する。

・医師の指示により義肢装具士が説明した内容(パーツや既製品装具等)を患者が保険者に相談することは可能だが、支給の可否に関しては保険者が判断できない。

・指示日と装着日が同一か否かにかかわらず、患者に合せて製作されたものはオーダーメイドと判断される。自社既製品を合わせる(S、M、L)のような場合は自社既製品として判断する。

・本人希望のデザイン・素材や美容目的・スポーツ目的の場合は保険適用外。(スポーツ目的で軽量のカーボンを使用するなど)

・医師の指示によるものであればリスト収載の有無にかかわらず保険適用になる。

生活保護受給者も既製品装具は基準価格の設定に準ずる。

 

 

 2.証明書

・証明書の書式は指示通りに記載する。

・証明書には主治医の名前で発行する。

証明書には装着確認をした義肢装具士の名前を記入する。(指示を受けた義肢装具士と装着確認した義肢装具士が異なる場合は、装着確認した義肢装具士の名前を記入)

・装具の目的や治療上の効果を記入する。

・既製品装具で改造が行われた場合、その内容を記入する。

・証明書の交付については、文書料を請求することは出来ない。

 

 

 3.治療用装具修理

・修理を行う場合は医師の診察・証明書の発行が必要。

・購入または修理の必要性、装着確認、具体的な指示などを証明書に記載して補装具支給基準に沿って請求すれば保険適用になる。(3修理基準 その他の加算要素)

・装具は新調するより修理を勧め、修理代金は装具価格を超えないようにする。

・診療報酬において、既製品装具では採寸法は認められないが、改造を行った際には、証明書にその旨を記載することにより義肢装具採寸法が認められる。

・治療用装具には耐用年数が定まっていないため障碍者総合支援法に定められている耐用年数を参考にし、医師と相談の上再製作について判断する。

障碍者総合支援法では、無償修理の期間が9カ月だが耐用年数を一律に適用することなく医師と相談の上配慮する。

・通常使用以外での修理は有償でも可能。(災害による毀損、本人の過失による破損、生理的または病理的変化によって生じた不具合、目的外使用または取扱不良で生じた破損)

・修理後3カ月間は保証期間として扱う。

 

 

 

 4.製作記録

・指定の製作記録を残す。

・保険者から照会があった場合、「製作記録」の書式で提出する。

・装具の内容、部品の追加・加工修正があれば製作記録に記録する。

・製作記録は装着確認日以降5年間保存。(廃業しても、5年間保存)。

・製作記録の様式は基本的には変更不可。欄内に収まらない場合、様式のレイアウト変更しない範囲で欄外に項目を追加することは可能。

・製作記録の記入欄が足りなくなった場合(複数治療用装具の処方がある場合)は追加することは可能

・製作記録の様式について、記入方法(手書き、パソコン等)や様式の製作方法(複写機、ワード、エクセル等)の定めはない。

 

というわけ皆さんの業務に助けになれば幸いです。

【厚労省】「療養費の支給対象となる既製品の治療装具について」の一部改正について 等:日本義肢装具士協会